認知的不協和理論(コミットメント)の研究

認知的不協和理論(コミットメント)


人間はある事柄に対し決断を下した後も、その決断が本当に最善だったのか? 他にもっと良い方法があったのではないか? と反芻するものです。

認知的不協和とは、例えば殆ど性能も価格も同じような車があって、さんざん悩んだすえにH社の車を買ったが、その後、影響力のある自動車評論家がT社の車の方が優れていると言った場合、自分の認識と評論家の認識が対立し不協和の状態になる。これが認知的不協和である。このような状態になると、人はその不快な状況から逃れるため、認知の操作を始めます。例えばH社の車の方が燃費が少しいいとか、なんとかポジティブな面を探そうとするものです。また、T社はアフターサービスが悪いとか、あの評論家はT社から金を貰ってT社の宣伝をしているなど、不協和を協和にすり替えることもあります。
認知的不協和状態
認知的不協和理論の研究によると、不協和は意志決定が自発的に行われた場合のみ発生することが分かっています。つまり株式市場における個人投資家は、売買を無理やり誰かに強制させられることは無いので、コミットメント(意志決定に対する責任)は非常に高い確率で生じることになります。またコミットメントが強ければ強いほど不協和が強くなることも分かっています。株の売買における意志決定に対する責任は、すべて自分が負うこと(自己責任)になり、また自分が買った銘柄に好意的な情報だけ入ってくるわけではないので、投資家は誰でも認知的不協和の状態に陥るといえます。認知的不協和による心理面のバイアスから逃れることは出来ないとしても、このような状態になるという事を知っていれば損はありません。また他人のポジショントークも話半分に聞くこともできます。

では、同じ株の売買でも、客の注文通りに売買する証券会社の社員はどうなんでしょう? 彼らはコミットメント(意志決定に対する責任)が生じないので、そこに認知的不協和も心理的葛藤も有り得ないのです。




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