感応度逓減が投資家にどのように作用するか

損失放置とナンピン~感応度逓減


感応度逓減が投資家にどのように作用するかを、もう少し具体的に考えてみよう。自分が購入した株が大きく下がり出した当初は誰でも動揺するが、時間経過と共に価値関数が緩やかになり、徐々に追加損失に鈍感になって行く。これを感応度逓減と言う。感応度の逓減は個人差があるものの、リファレンス・ポイント(購入コスト)から離れれば離れるほど損失も利益も感じ方が弱くなって行く。(下図参照) 

また、人は損失を確定させるよりも、損失状態を甘受する傾向の方が強いと言えます。なぜなら損失を確定させると言うことは、意思決定の失敗を意味し、金銭的なコスト、時間的コスト、更に心理的コストもプラスされるので受け入れることが難しいのです。(人は同程度の利益を得た時の喜びより、損失のほうを重く受け止める)この現象は損失回避行動と呼ばれており多くの研究で示されている。
投資家の感応度逓減

ナンピンと感応度逓減
ナンピンは、自分が購入した価格と現在の価格とのギャップを埋めることで、トレンドが反転した時にトントンで決済するか、あわよくば利益を狙おうとする行為である。それ自体を否定も肯定もしないが、少なくとも現在のトレンドには逆らっているわけですから、大きくなったポジションが更に逆に動いたときのリスクも考慮するべきである。しかし、投資家は感応度逓減により追加的な損失の痛みに鈍感になっているので、リスクが膨らむことより、購入価格と現在価格のギャップが埋まることに精神的安定を求めようとします。また、投資家は損失回避行動から購入価格への復帰に関しては辛抱強いと言えます。一般に辛抱強さは美徳とされますが、トレードでは美徳どころか破滅を招くこともあるので要注意です。

たしかにナンピンで購入価格を下げることはできますが、トレンドに逆らっているポジションが更に大きくなるリスクも冷静に考えるべきでしょう。




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