市場予測の考察
予測という言葉を辞書で調べると、将来の出来事や状態を前もっておし測ることと出ている。予測をすると言うと、構えて考えてしまう方も多いと思いますが、実は私たちは好む好まざるに関わらず日常生活でも結構、無意識のうちに予測をしているものです。朝起きて家を出る時、空を見て、もう直ぐ雨が降りそうだから傘を持ってゆこうとか、会社で失敗をすれば、誰にどのように怒られるとか、これらは全て過去の経験則から予測をしていることになります。
金融市場では未来を正確に予測できれば、それはイコール錬金術になるため昔から多くの人が様々な研究を重ね市場の未来を予測する方法を考えてきました。分析法の種類は、ファンダメンタルズ分析、統計分析、テクニカル分析、定量分析、クオンツ分析から占星術に至るまで多種多様である。しかし、どんなに高等数学を駆使しようが、企業内容を精査しようが、予測は当たる時もあれば、外れる時もありると言うのが実情である。分析法を全部解説するのは大変なので、個人投資家にも人気のあるファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の問題点や有効性を検証してみたい。
■ファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズ分析は、ひとことで言ってしまうと、企業の持つ潜在的な価値及びリスクが株価にどのように影響するかを考えるものである。
分析要素として企業収益、資産価値、成長性、金利、為替、配当、政治などが重要なものさしになってくるが、ファンダメンタルズ分析の問題点は、それを用いるアナリスト及び投資家が、どのものさしに比重をかけるかにより、分析結果が大きく違ってくるところだろう。
ファンダメンタルズ分析は、比較的長期の時間軸では、大きな経済現象と共に株価もパラレルで動く可能性を先見していると言え、有効性を無視することはできない。しかし、ファンダメンタルズ分析は、いまだにその定義すら曖昧であり、使う人の直感的な部分に依存しているとも言える。企業のもつ成長性や本来的な価値など、人間にどれ程の価値があるかを測るようなもので、水晶玉占いに近いとも言える。
■テクニカル分析
テクニカル分析とは、銘柄ごとの個別の因果関係を一切考えず、過去の価格、出来高、時間軸などから、未来の価格を予測する分析法である。テクニカル分析は、株価は需要と供給によって決ると言う前提と、将来の価格は過去の経験が重要だとする前提によって成り立っているが、テクニカル分析は統計学とも異なり、そこに理屈や絶対的な法則は存在しない。もともと根拠の希薄な計算式を駆使し、後付的に解釈する胡散臭いところが、アンチ・テクニカル派を生んでいる。
テクニカル分析は一見、数学的かつ理論的な分析法と認識されているが、過去の株価というのは個々の人間がとった投資行動の結果であり、人間心理が凝縮されたものと言える。特に市場の均衡状態が破られる時、人間がとる行動と言うのは、常に一貫していて、テクニカル分析の有効性を否定することはできない。
■行動ファイナンス
行動ファイナンスとは、聞き慣れない言葉ですが、これは米国で発生した心理学と経済学を融合させた新分野の資本市場分析法のことです。
従来からあるファンダメンタルズ分析・テクニカル分析は基本的に人間の心理面は観測の対象外です。行動ファイナンスが注目されはじめたのは、株式市場を支配しているのは無機質な数字ではなく、あくまで血の通った人間だと言うところからです。市場における暴騰・暴落のメカニズムは数字が勝手に暴走しているのではなく、取引を通じた人間の感情変化がトリガーとなり、市場を連鎖的混乱に導くと言ってもいいでしょう。行動ファイナンスとは、その人間が持っている心理、感情、非合理性、不正確性が投資行動にどうのように影響をもたらすのかを考えることである。
当サイトでは、株式市場を動かしているのは無機質な数字ではなく、血の通った人間の感情にあると考え、その立場から人間の投資における行動心理を研究及び検証をすることを目的とする。