多数派同調バイアスと正常性バイアスとは

多数派同調バイアスと正常性バイアス


人間は集団で生活し、他人と協調することにより人類を発展させてきました。しかし、一方では周りの人と同調することが命取りとなることもあります。


地下鉄火災2003年2月18日、韓国で地下鉄火災が発生し、200人の命が奪われる大惨事がありました。事件後に発表された報道写真に奇妙な行動が見られます。火災が始まり煙が充満してきた車内に平然と人々が座っているのです。普通なら窓を割って逃げるのが最善の策でしょう。これについて、防災システム研究所所長の山村武彦氏は「多数派同調バイアス」と「正常性バイアス」が支配した結果であると言っています。追記:2014年の韓国旅客船「セウォル号」沈没でも多くの人が逃げ遅れ、同様の惨事が繰り返されました。



多数派同調バイアスとは、自分以外に大勢の人がいると、取りあえず周りに合わせようとする心理状態。

正常性バイアスとは、異常事態に遭遇したとき「こんなはずはない」これは正常なんだと自分を抑制しようとする心理状態。

断っておきますが、多数派同調バイアスも正常性バイアスにしても、これ事態が悪いと言うものではありません。周りと同調すると言うのは人間社会を円滑にしていますし、異常事態に遭遇したとき、それを理性で抑制すると言うのは、むしろ好ましい態度でしょう。しかし、時としてこれらが最悪の結果を招いてしまうこともあるのです。

ある心理学の実験でも、学生寮で事前に訓練とは知らせず、非常ベルを鳴らすと、1人部屋の人は直ぐに外に出てくるが、部屋の人数が増えるほど行動が緩慢になり避難が遅れると言うデータがあります。これは、大勢の人がいると多数派同調バイアスと同時に正常性バイアスも強化されてしまうことを意味しています。

株式投資でも、多数派についている方が安心できますし、そうするのが人間の習性なんだと思います。しかし、多数派が常に正しいかと言えば、そうではないでしょう。

バイアスと言う点では、自分が含み損の株を持っている場合など、都合の良いニュースだけ探し捲くったり、ヤフーの掲示板などで自分と同じ立場の人を探し、同調を求める行為は、自らバイアスを強化しているだけで、好ましいことではありません。




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