後悔回避行動とプライド効果
投資家は損失を確定させるのを嫌がります。もちろん私も嫌です。損失を確定すると言うことは、どのように言い訳しようと判断を間違えた結果です。心理学的には、人間が間違った決断をした時の後悔は、決断が正しかったときの喜びを上回ると言われています。このようなことからも、自分が下した判断を間違いと認めるのは容易ではないのです。また、自分が損切りした日が大底になり、翌日から持ち株が急騰し買値を上回れば、最初の判断が間違っていなかったことになってしまいます。この時に受ける心理的ダメージは、損切りした時のダメージより強くなります。そんな後悔は誰もしたくありませんね。それゆえ、損を抱えている状況下では消極的な行動(何もしない)しか出来なくなるのです。これを後悔回避行動といいます。
では、自分の売買が他人に観察されているとしたらどうでしょう。判断を誤った時は、損失を出す痛みの他にメンツまで失うことになり、後悔回避行動を更に強めてしまいます。これとは逆にポジションに利益が乗った時はどうでしょう。自分の判断の正しさを証明するために、今度は早すぎるタイミングで利食いしてしまうことがあります。他人に観察されていれば、メンツを保つために更に強くなるでしょう。これをプライド効果といいます。
仕事などで自分のポジションを公開せざるを得ない人を除き、個人投資家が自分の持ち株を他人に教えるのは、後悔回避行動とプライド効果を強めるだけなので、百害あって一利なしと言えそうです。