株式市場は集団思考に陥りやすい

投資家の集団思考~服従


集団思考と言うのは、株式市場に限らず、どこにでも存在するものです。しかし、マーケットのように顕著に集団思考が現れる場はあまりないでしょう。



集団行動なぜ、株式市場は集団思考に陥りやすい場所なのか? 考えて見て欲しい、株式市場と言うのは確実なものなど何もないのである。高度な教育を受け、考えられるあらゆる調査・分析をして、修行僧のようにストイックな生活をしても、自分が望む結果が得られるどころか、まったく逆の結果になることも多い非情な場なのです。そのような環境で人びとが何を拠り所にするかと言うと、最も手っ取り早いのが自分より高度な知識を持った専門家の意見でしょう。所謂その道の権威といわれる人達です。俺は権威などには服従しないと言う人もいるでしょうが、ある心理学の実験からは、60%以上の人が権威に服従する傾向が確かめられています。また、人間は不安とストレスが高まるにつれ、協調行動が高まるとされています。人は不安な時ほど他人と協調し関係を深めようとする動物なのです。

株式市場の参加者は、多かれ少なかれ不安とストレスを抱えているので、より集団思考に陥りやすい状態にあると言えます。マーケットを動かすパラメータは数多くありますが、その本質を突き詰めて行くと、主観的、感覚的、経験則的、心理的と言った曖昧なものとなり、そこには確固たる基準となるものが存在しません。このような環境下におかれることで、投資家は本来意図しない服従や集団思考に陥るだけでなく、更に自分のバイアスも強化されて行くのです。ゴールドマン・サックスなど有名な外資系証券がレーティングを出すと、株価が暴騰したり、暴落したりすることがよくありますが、服従による集団思考をよく表した現象と言えます。

投資家が銘柄を選択する際の集団思考としては、業績見通しの良い企業を過大評価し、見通しが良くない企業を過小評価する傾向にあります。見通しの良い銘柄は、その道の権威も含め周りの情報もポジティブなもので溢れているので、確信を強め、更に上昇を続けると思い込み、投資家は次第に危険を認識しなくなって行きます。見通しの良くない企業はこの逆になる。

集団思考の仮説によれば、自分が十分な検討をしないで、権威や市場のコンセンサスに従うと、上昇相場では過度に楽観的になり、下落相場では過度に悲観的な行動を取るようになります。これにより最終的に過大なリスクを背負うことになる。

投資における失敗は、自分が意識していなくても、集団思考による影響を受けている場合が多いのである。




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