ベテラン・バイアスは攻撃方向で認知を歪める

ベテラン・バイアス



ベテラン・バイアス自分の経験や能力を過大評価し、危険な賭けにでてしまうことをベテラン・バイアスといいます。目の前の事象を過小評価してしまう点では正常性バイアスと同じですが、正常性バイアスは抑制方向なのに対し、ベテラン・バイアスは攻撃方向で我々の認知を歪めます。

例えば、「前にも似たようなことを経験した」「少し嫌な思いをしたが自力で解決できた」という記憶があると、今度も大丈夫だろうと思い込み、目の前の危機を甘く見て大胆な行動に出てしまうと言うことです。

これを株の取引を例に解説すると、初心者はビクビクしながら売買をしていますから、まず大きなポジションは取りませんし、ナンピンで買い下がるようなこともしないでしょう。しかし、ある程度経験を積んでくるとポジションも大きくなりますし、ナンピンをして成功した経験もあるはずです。そして自分の経験や能力を過大評価するようになり、似たような下げ局面になると、前回がたまたま上手く行ったのだとは考えず、より大きな資金でナンピンを繰り返すようになります。あとは書かなくてもお分かりのように、最終的にどこかでつかまり大怪我をします。株の取引を例にベテランバイアスを解説しましたが、危険な作業やスポーツなどをやっている人のベテラン・バイアスは時に命取りになります。

通常、株など勝負事をやっている最中にネガティブなことを考えるのは良いことではありません。しかし、ベテラン・バイアスで破産しないためには「今度はダメかもしれない」と言ったネガティブな思考や臆病さも、暴走しがちな取引の抑制につながるので大切といえます。




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