ピーク・エンドの法則(peak-end rule)

ピーク・エンドの法則と投資行動



ピーク・エンドの法則とは、プロスペクト理論で有名なダニエル・カーネマンが1999年に発表したもので、あらゆる経験の喜びと苦しみの記憶は、ほぼ完全にピーク時と終了時の喜びと苦しみの度合いで決定するという法則である。これではなんのことか分からないので、カーネマンが実際に行った実験で説明します。

どちらがいいか選択して下さい。
時間
1.死ぬほど冷たい水に60秒間手を浸す。

2.死ぬほど冷たい水に90秒間手を浸す。ただし、最後の30秒間は水は依然として冷たいものの徐々に温度が上昇する。

どちらかを選べと言われたら、冷たい水に60秒間手を浸す時間は同じなので、誰でも苦痛が短時間で済む1のほうを選択すると思います。理屈から言っても当然なことですね。しかし、実際に学生を使い1と2の両方を経験してもらった後に、どちらならもう一度経験してもよいかを尋ねたところ、驚くべきことに80%以上の人が苦痛の時間が長い、90秒間手を浸すのほうを選んだのです。

つまり人は、物事が起きていない段階では、喜びと苦しみの絶頂期(ピーク)を先取りして、苦しみが少なく喜びが大きいほうを選択するが、実際に物事を経験した後では、終了時(エンド)の記憶が鮮明に残り、それに影響を受ける傾向が強いというわけです。「ピーク・エンドの法則」は、本来重要な要素である時間の長短が問題にならないのも特徴です。



株式投資とピーク・エンドの法則チャートイメージ1
例えば、あなたがA社とB社の株を買ったとします。株価は両社とも1,000円、投資した株数も1,000株と同じである。A社の株価は買った直後からダラダラと値下がりを続け1年後に600円になっていた。一方のB社は1,000~1,100円のボックスで動いていたが、数日前に悪材料が出て700円に急落してしまった。両社とも収益はマイナスですが、客観的に見ればB社の方が成績が良かったのは明らかです。しかし、最後の急落をみたショックから、次の1年どちらの株を買い増しするかの決断をせまられたら、ピーク・エンドの法則から成績の悪かったA社の方を選んでしまう人が多いと思われます。
チャートイメージ2
逆にポジティブな領域でもピーク・エンドの法則が働きます。例えば、上記のA社の株は順調に値上がりを続け1年後に1,400円になっていた。一方、B社は鳴かず飛ばずで1,000円を挟みいったりきたりでしたが、数日前に好材料が出て1,300円急騰しました。これも客観的に見ればA社の方がパフォーマンスが良いのは明らかです。しかし、直近の急騰に魅せられた貴方は、次の1年どちらの株を買い増しするかの決断をせまられたら、B社を選択する可能性が高いというわけです。勿論、実際には好材料・悪材料の内容にもよりますが、ピーク・エンドの罠にハマっていないか、一度確認してみるのもいいでしょう。




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